<事案>
F社は、甲社に対して商品を販売してきましたが、たびたびその入金が遅れることがありました。
これまで甲社と話をして、待つことも多かったのですが、支払いの遅延は一向に改善せず、F社としてもその入金に不安を覚えるようになりました。
F社は、甲社に請求し続けることに限界を感じるようになり、売掛金の回収について当事務所に相談に来られました。
<解決に至るまで>
F社からお話をお伺いすると、契約書や納品書といった書類(証拠となるもの)は揃っており、仮に訴訟になっても十分に戦えるという状態でした。そこで、まずは支払督促(*簡易裁判所を通じて行う手続き。異議が出されなければ、強制執行をすることができるようになります。)を行いました。
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そうすると、甲社からは異議が出されたため、通常の裁判手続きに移行しました。しかしながら、その訴訟中に、売掛金の一部を現金で支払うということで和解することになりました。
<解決のポイント>
本件では、証拠が十分にあることと相手方の状況を把握していたことがポイントとなりました。
相手方の状況とは、支払いが困難であって、倒産の恐れもあるということです。倒産されてしまった場合は、いくら債権額が多くても、回収することは非常に困難(1円も帰ってこないこともある)です。
今回は、F社に対して、3つの選択肢を示して、選択していただきました。
その選択肢とは
1.全額支払えとの判決を取る
2.頭金をいれていただいて、残額を分割で支払うという和解
3.払える限りの金額を現金で一括して支払ってもらうという和解
です。
甲社の状況やF社の希望等も含めて検討した結果、実際の回収額としては第3案が最も大きくなると予想し、その通りの結果を得ることができました。
このように、ときには全額ではなく現実的な判断を取ることが必要な場合もあります。金額や方法についてお悩みの方は、一度ご相談いただけたらと思います。